本書は、取引コストアプローチ(取引費用理論)のリーダー的存在である0.E.Williamsonの考え方を、著者なりの解釈もふまえたうえで、体系的にまとめあげたものである。取引コスト・アプローチは新制度派経済学の代表的なアプローチのひとつでもある。ただしWilliamsonの文章は難解である。そのためか、Williamsonの翻訳書はいくつか見受けられても日本人研究者の手で、取引コストアプローチを日本企業の実態に合わせた形で体系的に論じた文献はきわめて少ない。しかし本書はその難解な作業にあえてチャレンジし、みごとに成功を収めている名著である。なお本書は学術書であるが、薄れていく企業境界を決定する仕組みに興味のある実務家や学生の方にも、ぜひお勧めしたい1冊である。